2015年11月
南米大陸の南端、南極にもほど近いパタゴニア地方にトーレス・デル・パイネ国立公園があります。
パイネ・グランデやトーレス・デル・パイネという特徴的な山々や、グレイ氷河を巡るトレイルコースが世界的に人気が高い。
スイスのオートルートを歩いた時と同様に
『シェルパ斉藤の世界10大トレイル紀行〜The World’s Best10 Trails』
を読んで超憧れていた場所。
今回も斉藤政喜氏とほぼ同様(僕らの方がちょっと長め)の”The W”というルートを選び、
テントや食料等必要な物全て担いで5泊6日のトレッキングを楽しんできました。
ルートは日帰りから、長めのルートの4泊(船を使う)〜5泊(全て歩き)の”The W”と、
6〜7泊の”一周コース”と様々。
ただ、一周コースは10年前の山火事でルートがわかりにくくなっている場所があるために、ベテランガイドの同行が推奨されているらしい。
なので、僕らが歩いたコースが個人トレッカーに推奨されている最長のコース。
まずは、準備。
チリのサンティアゴから約45時間かけてバスでチリ南部の最大都市プンタ・アレーナスまで行く。
直線距離で約2,400km。ほぼ日本の北端から沖縄までと同じ距離。
チリ側にはフィヨルドなどがあるために南側まで行ける道は無いので、
サンティアゴからオソルノという街に移動(10〜12時間)し、オソルノからアルゼンチンを通って、再びチリに入る(30時間超。40時間かかる場合もあるとか)。
チリの税関は非常に厳しい。
肉や野菜、果物等の生鮮食品の持込は厳しく制限されているので、場合によっては税関通過に時間がかかってしまう。
僕等はたまたまそれ程厳しいチェックが無かったので32時間ほどでプンタ・アレーナスに到着。
サンティアゴからプンタ・アレーナスまでのバスは季節によって有ったり、無かったり。
無い場合は小刻みにバスを乗り換える必要があるので時間もお金もかかってしまいます。
僕等の場合は乗り換え1回、42,000チリペソ(約7,200円)。
サンティアゴから南部パタゴニアにいく場合、気候が全く変わります。
めちゃめちゃ寒くなりますし、さらに風が強い。体感温度はかなり低くなる。
それなりの準備が必要です。
プンタ・アレーナス到着が午後8時になってしまったので一泊し、明日の朝プエルト・ナタレスを目指す。
プンタ・アレーナスからパイネ国立公園の玄関口の街プエルト・ナタレスまでは約250km。
以下の3社、1日に計16本のバスが運行しています。
Bus Sur社
Bus Fernandez社
Bus Pacheco社
3社ともウェブサイトに時間の記載有り。
ウェブサイトで予約は取れません。
どれも料金は同じくらいで、大体片道6,000チリペソ(1,000円くらい)。
プンタ・アレーナスにはバスターミナルは無いので、それぞれのバス会社のオフィスから出発します。
僕等はBus Fernandez社の8時のバスに乗るために7:55頃にオフィスに着きましたが、乗ることができました
(でも、ほぼ満席状態)。
約3時間でプエルトナタレスに到着。
全てのバスで言えることですが、景色がめちゃめちゃ綺麗です。
途中にプンタ・アレナス空港も通過するので、空港から直接乗ることもできそうです。
僕等は帰りに直接空港で降ろしてもらいました。
プエルト・ナタレスはチリ南部の2番目に大きな街ですが、とても小さな街です。
11月なので初夏だと思いますが、結構寒い。
しかも、パタゴニア地方はアンデス山脈とドレーク海峡から吹く強風が1年中吹き荒れている。
特に国立公園内は暴力的に強い風が吹くと聞くのでちょっと不安。
大きなバスターミナルがあるので、バスは全てターミナルから出発し到着します。
準備1 “キャンプ場の予約”
国立公園内にはいくつかキャンプ場があります。
全て予約は必要無いのですが、いっぱいになったら泊まることはできません。
日本は山小屋もキャンプ場も満室になっても泊めてくれますが、ここでは不可能。
キャンプ場から次のキャンプ場までの間が数時間離れている場合が多いので、特に夏のシーズンは事前に予約した方が良いと思います。
キャンプ場は2種類。
⭕️予約ができない無料のキャンプ場
僕等が見た無料のキャンプ場は水は川から得て、トイレは悲惨な状況。
もちろんシャワーはありませんが施設としては必要十分。
⭕️予約ができる有料キャンプ場
めちゃめちゃ快適。ホットシャワー、清潔なトイレ、キッチンスペースがある場所も。
充電ができるところもありました。必要があれば多分有料でWi-Fiも使えます。
それで1泊1人7,500チリペソ(1,300円)。
キャンプ場ごとによって値段が若干違うとおもいますが大体上記以下。
これだけ設備が整っていれば1,300円かかるけど、それ以上の価値があります。
有料キャンプ場はVerticePatagonia社とFantastico Sur社の2社が運営。
キャンプ場はそれぞれ管理会社が違います。
5泊中、最初の2泊をVertice社のウェブサイトから予約。Camp Paine Grande。
簡単に予約が取れます。しかも事前予約すると割引価格の5,500ペソ!
3泊目以降のCamp FrancesとCamp Las TorresはFantastico社のウェブサイトで予約ができるんですが、
支払いになるとUSドルでの支払いになります。
ドル払いはかなり高額設定になっているので、
プエルト・ナタレスのFantastico社のオフィスに行き、予約。
両社ともウェブサイトもオフィスの担当者も英語が使えます。
ちなみに、有料のキャンプ地は山小屋併設です。
山小屋も場所によって値段が違うんだと思いますが、ベッドだけや食事込みかどうかでも値段が変わってきます。
目安としてはベッドだけが1泊50USドル。3食つけると1泊130USドルくらい。
ドミトリーをやっている山小屋もあります。
また、キャンプ地でもテントやマット、寝袋のレンタルもありますが、
僕等が事前予約した時は一部のキャンプ地でレンタル予約がいっぱいだったので借りることができませんでした。
なので泣く泣く全ての道具を持ち歩くことになりました。
もし山小屋泊にしたり、テント等全てキャンプ地で借りたり、食事を山小屋でとることにすれば、かなりザックの重さを減らすことができて快適なトレッキングになります。
準備2 “キャンプ用品のレンタル”
僕等はテント2人用とスリーピングマット2つ、ストーブ、コッヘルをレンタル。
レンタル料金は1日合計10,500チリペソ(1,800円)。
僕等はレンタルショップのAdventure Gearでレンタル。
アルマス広場沿いにあり、ホステルPatagonia Adventure 併設の小さなレンタルショップ。英語が使えます。
店ごとに質が違ったり、日割計算の店や泊割計算の店だったり様々。
僕等は実際にはトレッキング前日に借りているので、計6泊7日借りたことになるが、
この店は6日分の料金で借りることができる上に、テントの質もかなり良かった。
パタゴニア地方は風がとても強いのでしっかりしたテントを借りるのが良いと思います。
あと、ガスカセットを2つ購入。1つ3,000チリペソ。
ほぼ毎食ガスを使い、さらに飲み水やお茶を作るためにかなりの頻度で使いましたが、結局0.5本程余りました。
風が強いので風対策としっかり節約して使えば5泊6日分の食料とお茶2人分を1本でまかなうことも可能だと思います。
準備3 “食材の買い出し”
僕等は5泊6日 実際には朝食5食分、昼食6食分、夕食5食分必要でした。
買出しは、プエルトナタレスのスーパーで。
以下全て2人分
ラーメン6袋、カップラーメン3個、パスタ400g、パスタソース2袋、米1kg、リゾットの素4食分、
マッシュポテト8食分、スープの素5袋、ズッキーニ大2本、ピーマン大1個、人参小3本、玉ねぎ1.5個、サンドイッチ用のパン10個、
スライスチーズ1袋(8枚)、ハム1袋(10枚)、ソーセージ10本、ポテトチップス小5個(プリングルスみたいなやつ)、
飴玉1袋、ビスケット小5袋、油や調味料各種。
朝食にはマッシュポテトやスープ。米やパンの時も。
昼食はパンやご飯、ラーメン。
おやつや夜食にポテトチップスやビスケット。
夕食にラーメンやパスタ、リゾットに野菜たっぷり。
そして、スコッチウィスキーを1本。瓶は重いので500mlのペットボトルに、移し替えて。
日記編で書きますが、酒好きだったらウィスキーはとっても重要です!
1本900円程度のウィスキーが世界で一番美味いウィスキーに生まれ変わる場所があります!!
結局、ほぼ毎食お腹いっぱい食べて2食分余りました。
追加で現地購入したものはワイン1リットルパック(5,000チリペソ。850円)を2つ。
祝杯用です。
プエルト・ナタレスで買うよりも5倍の値段。
チリワインは安いもので1リットル150円程度で買えますが、かなり美味いっす。
準備4 “しっかりとした防寒具”
全て自前ですが、
ニット帽やフリース、ネックウォーマー、ダウンジャケット、ダウンパンツ、レインウエア、メリノウール等の速乾性と保温に優れたインナー、
厚手の靴下、ゲーター、手袋2種類、寝袋、ブランケット(実際僕の寝袋は使い古した0度対応の物だったので使っても少し寒かった)。
雨や雪が降りやすい場所で、日中は太陽光が強く、夜は氷点下まで下がりますし、風が強いので体感温度はかなり低い。
幅広く対応できる装備が必要だと思います。
プエルト・ナタレスにはマウンテンギアを売っている店が数店あります。
サンティアゴよりは品揃えが少ないですが、なかなか良い品がある店を1店見つけました。
One Acoというお店。
アルマス広場やレンタルショップから近くて、店員さんの対応もかなり良い。
値段も日本よりは若干安いかな?
IceBraker等のあったかインナーを買いあさりました。
トレッキングシューズ、トレッキングポール、サポートタイツ、サングラス。救急用品。
衣類は2パターン程あれば十分。
その気になれば洗濯も可能(僕等は洗濯していません)。
カメラや携帯の充電器、パスポート、お金、ナイフ、洗面用具。等々。
僕は85リットルのザックに30kg弱。
ひかりさんは70リットルのザックに18kg弱。
かなり重いですが、国立公園が提供している地図の予想コースタイム通りに歩くことができましたし、
食材が無くなっていけばだんだん楽になります。
準備5 “国立公園までの往復”
プエルト・ナタレスからパイネ国立公園までバスの予約は様々な場所でできます。
バスターミナル、ツアー会社、宿、レンタルショップ。
だいたい往復15,000チリペソ。
僕等は宿で予約し、宿でのピックアップ込みで割引価格14,000チリペソ。
ツアー会社や宿によってピックアップ込みだったり、割引がされていたり様々なようです。
準備6 “国立公園の入場料”
入場料はアマルガ池のパイネ国立公園入口で支払います。
何日間滞在しようが、一律1人18,000チリペソ(約3,100円)。
あとパスポートナンバーが必要なので、最低限のお金とパスポートの持参(提示の必要は無し)が必要です。
あと、滞在日数を事前に申告しますが、終了時点での申告は無いので、予定よりも長く滞在することも可能です。
でも、レンジーが見回りをしているので、長くいる可能性がある場合には事前に長めに申告しておくと良いと思います。
以上が必要な準備。
プエルト・ナタレスに午前中に到着すれば、全ての準備をその日のうちに整え、次の日に歩き始めることも可能です。
僕はらプエルトナタレスに2泊してじっくり準備しました。
寒さ対策とキャンプ等の宿の予約、行動日程を事前にしっかりと準備し、挑んでください。
実際これだけ準備が整っていれば、毎食美味しいご飯が食べられますし、寒さも防げて、快適なトレッキングになると思います。
僕等は準備からトレッキング終了まで、全て込み込みで1人1日3,000円以下の出費で抑えることができています。
次は日記編をアップします。
Posted by Takumi
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