4月5日(日) エベレスト街道トレッキング 12日目

夜中にトイレで眼が覚める。毎晩、何回も。寒いからしばらく寝袋の中で我慢するけど、耐えられず結局トイレに行く。

僕の場合は1日4~5回くらい。2日後に再度5500mまで行くので高山病対策は念入りに。

でも、唯一良い事がある。トイレは外にあることが多いので、星と月に照らされた山が見れる。気が向けば写真が撮れる。

寒すぎてまた〜にしか気が向かないけど。

1:00写真を撮る気になった。被写体が良いからもっとキレイに撮れるはずだけど、寒すぎて長いこと外に居れ無いのでこんなもん。

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(写真サイズを小さく編集したら星が見えなくなったかも?)

外に出た後はなかなか眠れない。体が冷えしまった。

 

6:30起床。昨日心配だった雪は昨日22:00トイレに行った時に止んでいたのを確認済み。

真っ白。降った雪が寒さで固まってツルツルになっているが、行動できる。

7:30朝食。ツナベジサンドを食べる。うまい。8:20行動開始。

今日はマッツェルモ4470mへの移動。予定では4時間半の道のり。アップダウンを繰り返しながら標高を300m弱上げる。

最初から見晴らしの良いトレッキング。振り返るとカンテガやタムセルクが視界一面に入ってくる。

そのうち、正面に8000m峰のチョ・オユーが見え始める。

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これで見たかった山を全て見れた!

どんどんチョ・オユーの横たわるような姿に近づいていく。

右手ははるか1000mくらい下にドゥードコシ河の流れる崖になっており、雪・氷・ぬかるみの細い道を進んだり、

ぬかるみを避け雪の斜面を進む。ちょっと危険。

約3時間程進むとルーザ村に着く。ここまでくればマッツェルモまでは30分。

11:40マッツェルモのYeti Lodgeに到着。今日も予定より1時間以上早く着いた。

決して急いではいないが、少し高度に慣れてきているのかも。

 

ロッヂには僕等を含め3組。僕等2人組、10人位のカナダ人団体、15人位のアイルランド人団体。

そのうち15人位のアイルランド人団体は昨日はここに宿泊し、これからゴーキョ(明日の僕等の目的地)に向かうと言う。

おかしい。既に昼なのに、ここから5時間以上はかかりそうな場所に、団体で、ほとんどが老・・ご年配の方。

様子をうかがっていると、一台のレスキューヘリが村に近づいてくる。

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すると、外にいたそのアイルランド人団体の1人の中年女性が、突然叫んで狂ったように走り出した!

それを仲間の何人かが必死に追いかけ捕まえる。ヘリが着陸し、その女性が抱えられヘリに向かう。

女性は暴れ、乗りたくないと叫び続ける。6人がかりで女性を何とか乗せるか、まだ暴れ続ける。

強制的に扉を閉め、ヘリはカトマンドゥに向かい飛んだ。アイルランド人の多くはすすり泣いている。

なんだこれ??

どうやら、高度障害で体調と精神状態がかなり悪くなっていた様子。

そこで、レスキューヘリで強制的に高度を下げさせようとしたところ、ヘリが怖いらしく女性は乗ることを拒否。

でも、ヘリ以外での下降は危険と判断したガイドは、密かにヘリを手配し、

ヘリが到着するまで女性を安心させるためにチーム全員がロッヂにSTAYしていた。

そして、この女性に同情しすすり泣いていたようだ。

高度障害では脳にダメージを負うこともある。精神状態が悪化することも有り、かなり衝撃的な状況だった。

高度障害、恐るべし

 

13:00昼食。チーズトマトパスタにいつものようにガーリックを追加してもらう。ひかりさんの頼んだチョーメンもうまい。

常に食卓に用意されているグリーンチリソース。

最初食べた時に何故か梅の味がし、危険を感じ避けていた。ひかりさんは毎日使っている。

久々に使ってみると結構辛くてうまい!味もパスタやチョーメンを邪魔しない。積極的に使おう。

 

15:00メディカルレスキューによって毎日開催されるフリーAltitude Talkに参加してきた。

高度障害と言っても、

AMS(Acute Mountain Sickness 急性高山病)、

HAPE(High Altitede Pulmonary Edema 高地肺水腫)、

HACE(High Altitude Cerebral Edema 高地脳浮腫)

があるようだ。

薬剤や対策、予防法など詳しく語ってもらったが、もちろん英語での講義。

完璧に理解できないが、なんとなーく分かった。

 

講義の後、医師に「数日前に5300mで高山病で強烈なめまいを感じたんですが、また起こりますか?」と質問。

「大丈夫。一度その高度に行っているので順応しているはず。もし起こったらすぐに高度を下げれば安心。」と。

了解しました!兆候があった場合にはすぐに高度を下げることを約束します。

 

夕食前、バル・クマールと話す。

明日、天気が良ければゴーキョに行き、そのままゴーキョ・ピーク5500mに登る。もし天気が悪ければ明後日登る。

その後、最後のパス、レンジョ・ラパスを通って帰る予定だが、今は首のところまで雪が積もっていて通行が難しいらしい。

高い確率でレンジョ・ラパスは通過できないと。

その他のパスについても同様。昼間は天気が良いが、夜に天気が悪くなり大量の雪が降る日々が続いている。

つまり、明日ゴーキョ・ピークに登れてしまった場合は、明日の登山が最後となる。

明日登山し、明後日から下り始め、5日後にはルクラ空港に着いてしまう。

少し淋しい気もするが、まずは明日の登山をがんばろう!!

 

4月6日(月)13日目

鼻が詰まり、喉が痛む。

たぶん冷たい乾燥した空気を口で吸いながら歩いているからだと思う。多くの人が喉の痛みには悩ませられる。

鼻が詰まり、鼻で息ができないから口で息を吸う。喉が乾いて痛むから頻繁に水を飲む。

高山病対策として水を飲むのは良いことだけど、夜中に8回もトイレに行った。

ほぼ眠れなかった。今日のトレッキングが心配。

 

6:00起床。

高山病の症状は無いが、微熱と喉の強い痛みがある。どうも僕は4500m前後になると調子が悪くなるらしい。

まぁ、天気も良いし、歩けないことは無いので、この旅のクライマックスであるゴーキョ・ピークに登る。

朝食のサンドイッチを食べ、7:40出発。

ここマッツェルモからゴーキョ村まで約4時間。雪道を行く。

最初は楽しんで歩いているが、途中からストレスを感じるようになる。かなり深い雪道で歩きにくいし、延々と歩く。かなり疲れる。

相変わらず正面にチョ・オユーと後ろにカンテガとタムセルクという景色。景色は素晴らしい!

でも、この道のビューポイントであるゴーキョ湖は雪と氷でただ白いだけ。

途中、この道で知り合った中国系アメリカ人とすれ違い、ゴーキョ・ピークは素晴らしかったと聞いたのでテンションが若干上がるも、

登頂は明日で良いんじゃないか?と言う雑念も相変わらず頭をよぎり続ける。

登頂はめちゃめちゃ厳しかったらしい。

でも、登頂を明日にすると4750mのゴーキョ村の薄い酸素で夜また高山病が再発する可能性があるし、

天気の良い今日のうちに行っておくのがベスト。

 

11:15、約3時間半かけてゴーキョ村に到着。

本日の宿Lake Side Lodgeにて昼食。トマトパスタにガーリックを追加してもらうが、何故かチーズも追加されていてラッキー!

僕等が辛いものが好きなのを知っているバル・クマールが毎回アチャール(ヒマラヤのピクルス)を持ってきてくれる。

どこのアチャールもクセがあって辛くて美味い。ここのはもちろん美味いが辛さNo,1!!

ニンジンを3mm程かじってみて、辛い!!叫びながら涙を流してしまう。どうやったらこんなに辛くできるんだ??

結局一切れのニンジンを細かく砕いてパスタに混ぜて食べる。別物のような辛いパスタになるが、味は絶品!

たぶんどこの家庭(ロッジ)でも作っているので、エベレスト街道を訪れる際には是非挑戦してみてください。

ホットチリとか、ピクルスが欲しい言うと出てきます。作った人も「危険だから気を付けて」と毎回言ってきます。

 

12:45ゴーキョ・ピークに向け出発。ピークと言っても、丘。丘と言っても標高5500m。

ここゴーキョの村から700m以上登らなければならない。片道約3時間。ただ、ひたすら登る。。。

と、思っていたら、完全な雪山になっていた。

おそらく1m程積もっているだろうか?雪が硬いところもあるが、所々足が太腿まで雪の中に入っていく。

これを一気に700m登るの?気が遠くなる。

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雪山の良いところは直登できること。

雪が無いと急すぎて直登できず、ぐるっと回りながら道に沿って少しずつ登っていく。

雪があると急な斜面でも一直線に登っていける。道は関係無い。

ラッセルして、足場を固めて、一歩一歩登っていく。

少し雲が出てきた。エベレストにも雲がかかっていて見えない。でも、風が吹いているので頂上に着く頃に顔を出してくれることを祈る。

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5000m。どんどんゴーキョ村が小さくなっていく。

地上より気温は30℃低い。時折吹く強風、直射日光と雪の照り返し。暑いのか寒いのかわからない。

薄い空気の中、5歩くらい進んでは呼吸を整える。それを何度も何度も繰り返す。

15:00、2時間ちょっとでゴーキョ・ピーク頂上に到着!

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7〜8000m級の山々と氷河が360度視界の全面に広がる。こんな景色見たことない!

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頂上は人が10人程立てる広間が3つあり、僕らの貸切。誰もいない。

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写真や動画を撮ったり、叫んでみたり。ガイドのバル・クマールとポーターのラクパも写真を撮ってはしゃいでいる。

そうこうしているうちにエベレストも顔を出す。

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実はエベレストは常にヌプチェという7900m弱の山の陰に隠れており、頂上の先っぽしか見えない。

でも、ここは違う。ヌプチェに隠れることなく、エベレクトの西側斜面が綺麗に丸見えになる。

ここに来ると世界一大きな山というのを実感できる。

ガイドも綺麗にエベレストを見るにはカラパタールよりも、ゴーキョの方がおススメと言っている。

確かにここの景色は本当に素晴らしい!!

4人で記念写真。

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この旅では、

1.エベレスト登山のベースキャンプに行くこと

2.カラパタールというの丘に登りエベレストを見ること

3.3つのパス(コンマ・ラパス、チョー・ラパス、レンジョ・ラパス)を通過して普通とは違うルートを辿ること

4.チュクン・リに登ること、そして

5.ゴーキョ・ピークに登ること

が目的だった。

1は高山病に苦しみながらも何とか達成。エベレスト街道の最奥地。長い間思い続けていた場所に行くことができた。

2.は僕は高山病のため断念。ひかりさんは登ったが、残念ながら天候が悪く何も見えなかった。

3は雪のために通過するのは危険なために、今季はほとんど閉鎖されているため全てのパスを断念。

4も同様に雪のために断念。2日間だけ降った大雪が3と4の通過を不能にしたし、

ベースキャンプへの道のりや、5.ゴーキョ・ピークへの登山を困難にした。

でも、ゴーキョ・ピークは本当に素晴らしく天候のために断念したすべてのことをチャラにしてくれた。

ガイドのバル・クマールは「この雪道をクリアできたなら、次は6000m峰のアイランドピークやメラピークに登りに来るべき」と言ってくれた。

いつか必ず来ます!!

その時はまたバル・クマールにクライミングガイドをお願いしよう。

 

約1時間弱、頂上で貸切状態で騒いでいたら少しずつ雲が出てきてチョ・オユーが見えなくなってきた。

下り始める。急な雪の斜面をはしゃぎながら直滑降で走り降りる。

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途中エベレストが顔を出してくれたり、真っ白になり3m先も見えなくなったり。

何度か転びながらも約45分程でロッヂまで駆け下りた。

夕食はベジフライドライス。辛いピクルスをもらい、激辛にして食べる。美味い。

ひかりさんのスプリンクロール(春巻きだが、巨大な餃子の形をしている)も美味い!

ゴーキョはエベレストベースキャンプ方面のロブチェやゴラクシェプに比べ値段が半分くらい。

 

 

明日からはただ、帰るのみ!

4日間かけてルクラ空港まで行く。最終日はバル・クマールやラクパとネパールのライスワイン「チャン」で乾杯することになっている。

日本でも何度かチャンは飲んでいるがめちゃめちゃ美味い!

前の会社の同僚や同期たちと行った店「恵比寿 クーンビラ」で何度か飲んだ。

クーンビラとはナムチェバザール近くにある山。神が降り立つ山として登山は禁止されているが美しい山。

ナムチェからは先っぽしか見えないが、帰りにもう一回見たい。

あと、シャワー!!

早くナムチェかルクラ、もしくはカトマンドゥで熱いシャワーを浴びたい。洗濯も。下着と靴下しか洗ってないので。

あと、皮膚は日焼けでボロボロだし、乾燥で鼻血が出るし、鼻毛もヒゲも剃ってないし

とにかく全部キレイにしたい!!

 

20:30就寝。
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