アコンカグア登山 2015年12月14〜27日
12月23日(10日目):BCステイ
一晩中強い風が吹いていた。Nidoのテントは大丈夫だろうか。ちゃんとテントを潰しておけば良かった。
11時に匠さんテント確認のためNidoへ出発。私は本読んだりBCをプラプラして過ごす。
レンジャーに天気を聞きに行くと、Drが通訳してくれた。(ここのレンジャーはあまり英語が話せない、もしくは片言の人が多い)
それによると25、26日がベストだと。なんだよ、また天気予報変わったのか。前の通りじゃん!でも天気は変わりやすいからまた明日確認するようにと。
ついでに、Nidoで左後頭部が痛くなったことを話してみたら、
「通常の高山病だと頭の前側が痛くなる。より深刻なのは後頭部が痛くなることだ。だけど、重い荷物を背負って、腰や肩の筋肉痛が頭痛を引き起こすこともある。たぶんそれからくる痛みじゃないか?」
と教えてくれた。筋肉痛なら問題無しッ!安心した!
17時前に匠さん戻る、速い。。テントは無事だったとのこと。安心。
匠さんも上で天気予報を聞いたらしく、やはり25、26日が良いとのこと。Nidoにいるウシヤマ君は25日に登るそうだ。
明日は再びNidoへ上がり、25日にNidoからサミットプッシュするか、26日にColeraから行くか、迷う。
12月24日(11日目):BC→Nido
7時起床、9時テント撤収。今日は一気に1,200m上がってNidoへ戻る。
今回は荷物が軽いのでC1まで3時間。しかしここからNidoまではやはり疲れる。BCに降ったときの筋肉痛が足にきている。Nidoまで6時間かかった。匠さんの昨日の速さはなんなんだ・・・
Nidoに着くとレンジャーが声をかけてきた。
「ここから上はそんな速く歩いちゃだめだ。1歩につき1呼吸、ゆっくりと歩くんだ。」
と教えてくれた。確かに、この歩き方だとゆっくりだが疲れにくいかも。速く歩いて息が上がって止まる、というよりずっと歩き続けられる方が楽かもしれない。
ここまで6時間歩いてきた。頂上までは時間的にもう2時間は歩けば着く。あと2時間だったらいけるかも。Nidoから登頂できるんじゃないか。明日25日に登頂できればその分早くBCに戻れる。というか戻りたい!!そう、私は判断した。
だが、この判断が間違っていた。
ウシヤマ君も明日に登頂を狙う。レンジャーが言うには、Independenciaから頂上までは3時間くらいで、15時までに登頂しなければいけないとのこと。15時になったらそれ以上は登らせてくれないらしい、と聞いたようだ。
朝5時に出発すれば15時まで10時間ある。手前のIndependenciaに12時までに着けば良い。ここからはたったの900m程でIndipendenciaだ。その後3時間で500m。きっと余裕だろう。
20時。まだ日が出ている。
今夜は風がなく、比較的暖かい。でも夜中に冷え込むことを予想し、明日起きてすぐに出られるように衣類を全て着込み、さらにイマージェンシーシートを寝袋の上に被せて寝る。
12月25日(12日目):Nido→サミット挑戦
Merry Christmas⭐︎
4時起床、お茶とクッキー、そして味噌汁を食べながら、お湯を沸かし、行動中の水を作る。
寒い中しっかりと便も出た。出だし快調だ。そして、下痢止めを飲み、行動中の便意を抑える。
意外に準備に手間取り、5時出発の予定が結局5時半に。ウシヤマ君は6時出発と言っていたが、5時には出発していた。
風がほとんどなく想像していたより寒くない。
といっても、
上は、極寒用インナー+メリノウール(Icebreaker 200)インナー+ちょっと厚手フリース+通常のダウンジャケット(マムートの850+)+厚手ダウンジャケット
下は、メリノウール(Icebreaker 200)タイツ+通常のダウンパンツ+登山ズボン(夏用)+レインパンツ
足は、厚手の靴下(メリノウール)2枚+毛糸の長くて薄い靴下(ボリビアで購入したもの)
手は、ちょっと厚めの手袋2枚+ダウンのミトングローブ
を着込んでいる。
出発時は着けていないが、口元だけのフェイスマスクも用意している。
ヘッドライトを点けて出発するが月明かりがあってさほど暗くない。次第に空も明るくなってきた。眼下に広がっていく山々が美しい。
昨日レンジャーに教えてもらった、1歩1呼吸の歩き方でゆっくり登っていく。
でもこんなにゆっくりで15時までに間に合うのだろうか??
でも匠さんがしっかり計算していて(彼は計算マニアだ)、このスピードでも8時間で着くから大丈夫だと。ちゃんと計算しながら登ってくれてありがたい。
Coleraまでは予定通り2時間半で到着。ただ、ゆっくり登ってきたとはいえ、すでに疲労感あり。軽くお菓子を食べ、寒さがきつくなってきたのでフェイスマスクも着けて出発する。
(Coleraを過ぎたあたり)
しかし、足が重い。休憩直後だからか、と思ったが、なかなか足が上がらない。呼吸もだいぶ苦しくなってきた。1歩1呼吸の歩き方でも息が上がる。たまにふらつく。
ここからはさらに傾斜が急になっているみたい。
まだ6,000mにも達していない。こんな所でこんな状態でさらに上に行けるのだろうか。不安になる。
気持ちは登頂したいと思っているのに、体が思うように動かない。速く行く必要はないが、ペースが落ちると15時に間に合わなくなるのではないか、と焦る。
そう考えるとどんどん気持ちが焦り、同時に萎えてくる。
匠さんは順調に登っている。少し上まで歩き、私を待つ。私は次第にペースが落ちていく。
匠さんに「このペースだと時間に間に合わないかもしれない。今のひかりさんは登ろうという気持ちが乗っていないように見える」と言われる。
確かにそうかもしれない。もう今の状態だと登頂できる気がしない。
標高は6,200m。
(6,200m、Campo Ⅲ手前)
ここで、匠さんだけ今日頂上にいくか、2人で下り今日中にColeraに荷上げして明日Coleraから再び挑戦するか、明日再びNidoからもっと早く出て挑戦するか、という選択肢を匠さんが提案した。
Nidoからではきっと同じことになる。だから明日はColeraから挑戦することにし、今日は2人で下ることにした。
しかし、すでに10時を過ぎていてNidoに下り、テントや装備や食料や寝袋等、重い荷物を担いでまたColeraまで登るとなると16時はすぎるだろうし体力も奪われる。
下りながらいろいろ考えた。
今日再びColeraに登れる体力が私に残っているのか、今日の自分をみてColeraからでも登っていけるほど体力があるのか。
諦めたらそこで終了、そんなのわかっている。諦めるのは簡単だ。でも早々に諦めずに、取り返しのつかない時間まで粘り、結果、匠さんまで登れなくなったら申し訳ない。
引き返す途中、今の自分の状態では無理だと判断した。
今日まで12日間、死に物狂いで頑張って、耐えてきたが、
私は、アコンカグアを諦める。
明日、匠さんだけが再びNidoから頂上を目指すことになった。
悔しかった。
自分の体力がないのもそうだし、それ以上にもっと行けると思える精神力もなかった。また山で泣いた。
焦らず今日Coleraに荷上げして、明日Coleraから目指していれば、もしかしたら頂上に行けたかもしれない。4日前に25日が天気悪いと聞かなければ。BCに戻らず、ずっとNidoにステイしていれば。
仕方がない、これも運だ。
自分の足で登った最高標高地点は更新した。
6200m!!
登れなかったワイナポトシ(6,088m)を超えたぞ!
(登頂断念記念@キャンプColera 5970m)
19時前にColeraから登頂してスズキさんがNidoに下りてきた。17年越しの夢を叶えたと、興奮気味でとても嬉しそうだ。すこし高度障害が出てるから今日中にBCまで下るという。
(登頂おめでとうございます!スズキさん!)
それから20分後くらいに、ウシヤマ君が戻ってきた。とても疲労困憊していた。登頂まで11時間かかったという。大トラバースと急登グランカナレタに時間がかかったようだ。
明日は、匠さんだけサミットへ向かう。ちょっと心配だけどたぶん彼なら大丈夫。そう信じるしかない。
posted by Hikari
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