2015年12月5〜7日の2泊3日で、ボリビアの6,000m峰のワイナポトシに登ってきました。

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登頂率は50%未満で、日本人に限っては20%程らしい。

かなり天候に左右される。

 

2015年12月5日

9時半にワイナポトシ登山ツアーのバンが出発。

僕らに加えて、スペイン人のアナヴィ(23歳)とデンマーク人のヨセフィーナ(19歳)

若いピチピチした女の子2人とガイドのラミーロの5人グループ。

 

ってゆーか、ワイナポトシ、スゲェ雪あんじゃん。

景色はめちゃめちゃ良いんだけど、こんなの登れるの??

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バンがベースキャンプに着いた頃から徐々に天気が悪くなってくる。

昼食を食べていると雷がゴロゴロ鳴り出し、雨やら雹やら雪やらが降り出す。

 

最悪。

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(ベースキャンプ。結構、ボロい。ストーブはあるけど点けてくれず、寒い)

 

プラスチックブーツ、アイゼン、ハーネス、ヘルメット、ピッケルの装備で出発。

今日は高度順応のためベースキャンプに1泊し、

1時間程離れたワイナポトシ氷河の端っこで、
アイゼンとピッケルの使い方を練習するとともに、

アイスクライミングも体験する。

 

 

ぬぬ、なかなか難しいぞ。

 

コツをつかむとスムーズに歩けるようになる。

 

お待ちかねアイスクライミング。

ほぼ、傾斜90度の氷壁を約15m位登る。

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難っ!!

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1人2回チャレンジしたんですが、2回目はみんなかなりスピードも上がり、慣れてきた。

でも、めちゃめちゃシンドイ。

腕がプルプル震えるし、膝はアザだらけ。

プラスチックブーツも歩きにくいのなんの。

このプラチックブーツで6時間も登れって!?足の裏で歩いてるんじゃなくて、スネで歩いてる感覚。めっちゃスネ痛いし。バランス取りづらいし、重いし。。。でも2人の女の子達はふつーに早く歩けている。このブーツ、サイズが大きすぎなんじゃないの!?

後で彼女らに聞いたら、痛いわよ!って。そうか、私だけじゃないんだ。。耐えるしかないのね。。。

 

19時半、夕食。

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スープもパスタもめちゃめちゃ美味い!

全部ガイドのラミーロが作るんです。

ガイドから明日以降の説明を受け、

20時半就寝。

楽しい1日でした。

 

6日

ほとんど眠れなかった。

寒さと、寝返りを打つたびにベッドがギシギシ言うのでとても不快だった。

7時位にベッドを出ると少し頭が痛む。

気にならないが、頭を振ると少しジンジンする。

でも、しばらくしたら完治した。

ひかりさんは絶好調のようだ。

 

外に出て抱きつき犬と遊びながら、

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山を見る。


山頂方向からハイキャンプに降りてきている人達が見える。

今日は良い天気なので頂上は良かっただろうなぁ。

昼ご飯もベースキャンプで食べて、

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その後ハイキャンプまで登る。

ゆっくりで3時間の道のりだけど、標高は5,100mを超えるのでしっかり空気を吸って、無理な行動はしてはいけない。

今日はレンタルした道具一式を各自ザックに詰め込んで背負っていくので、結構重くなる。

12時出発。

さらにフランス人カップル(1泊2日の行程)とガイド1人加え、8人グループでハイキャンプを目指す。

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午後になると天気が悪くなり雪がちらつくし、視界もほぼゼロに近い時間帯もあった。

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15時ハイキャンプ到着。

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暖かい部屋でお茶を飲んだり、お菓子を食べたり。談笑したり。

image(右手前のスウェーデン生まれ、編物ボーイ。彼女のためにソックスを編んでいるらしい。明らかにデカイよ。草食系かと思いきや、実は彼が最も速く登頂下山した屈強男だった。。)

 

17時夕食。

夕食後、明日の行動についてガイドによるブリーフィングが行われる。

明日は夜中の0時に起き、1時登山開始。

登り6時間、下り2時間。それ以上時間がかかる場合は敗退。

 

18時就寝。

 

18時から0時の間に3回小便に起きた。

外は小雨が降り、風が強い。

トイレまでの道も凍ってて滑る。滑ったら数十m程落下し、誰にも気付かれずに凍死するでしょう。

やはり高所ではなかなか寝られない。心拍数が上がっている。

高山病の気配はほとんどなく、全く辛くないが。しかも、匠さんがトイレ行く度に、転びやしないかちゃんと戻って来るか心配してた。

結局1時間も熟睡はできなかった。

image(便所。昼間撮影)

 

 

7日、午前0時起床。

事前に調べておいた天気予報を見ると頂上の6,100m地点は-15℃。

出来るだけ着込んで、冬山装備に身を包み、出発。

メリノウールのインナー上下(icebraker260)、
ダウンパンツ、
厚手のフリース(レンタル)、
ダウンジャケット、
レインウエア上下、
目出し帽、
5本指ソックス、
メリノウールの厚手の靴下、
毛糸の靴下(ラパスで購入)
ナイロン製インナーグローブ
スキー用グローブ(レンタル)

真夜中ほぼ無風状態の標高6000m-15℃ではかなり暑く、たっぷり汗をかいた。

もう少し減らしても十分だった。

 

天気は良好

でも、今日も2人ともほとんど眠れず、体調はあまり良くない。水分の摂り過ぎか下痢気味だし。

実は、キリマンジャロ頂上アタックの際、お腹ゆるゆるで何回も”雉撃ち”をした私 (´Д` )。。。

今回はあまり雉撃ちしたくない!だって3人一組で繋がってて、ハーネス着けてるから、いちいち外すのが面倒な事は分かりきっている。しかもガイド曰く、寒くなるから2分も休憩はしてはいけないって言われたし。

なので正露丸をあらかじめ飲んだ。本当は下痢止めを飲みたかったけど、持ってくるのを忘れてた。

ここからはガイドと僕等、3人がザイルに繋がれた状態(アンザイレン)で行く。

誰かが崖やクレバスに落ちた場合でも大丈夫なように。

 

急な雪の坂道を慣れないアイゼンで進む。

慣れない雪道だからか、ひかりさんにいつものようなスピードが出ない。

疲れて休んでも、ザイルを引っ張り休ませようとしないガイド。

余計に、無駄に体力を消耗し続ける。

てか、速くない??昨日のブリーフィングで『ゆっくりゆっくり行く。ザイル引っ張るのは良くない』ってラミーロ言ってたよね??呼吸を整えるために足を止めることすらできず、グイグイ引っ張られる。

いや、もしかしたらこれはラミーロなりに私をガンバって引き上げているのかもしれない。

彼のペースに合わせようとするも、足が重く、クランポンも思うように刺さらない。少しもたつくと引っ張られてバランスが崩れる。

私のペースが遅いのが悪い。でもゆっくりって言ったじゃん。このペースだと登頂できないからかもしれないけど、ちょっと苦しい。

 

あまりにも酷いので僕とガイドのラミーロが口論になる。

ラミーロ「フラフラ歩くのが悪い」

僕「ザイルを引っ張っるから無駄に体力を消耗している。もっとゆっくり行ってくれ。」

ラミーロ「このスピードでは登頂できない」

「私のペースはとても遅い。でもこのペースで行かないといけないならば、私はあなたについていくことができない」

僕「登頂できなくても、僕等のスピードに合わせて行けるところまで連れて行ってくれるのがガイドの仕事だ」

ラミーロ「もうやめるか?」

僕「やめる。お前とは一緒に行けない。帰ろう!」

※僕はスペイン語が喋れないので、英語混じりのジェスチャーです。

ゆっくり行くって言ったじゃん!!って心の中で叫んでたけど、声に出せず、匠さんが抗議してくれてる。ガイドとの雰囲気も壊してしまった。自分が体力ないために、匠さんまで嫌な気分にさせてしまった。1時間も歩かないうちに、止めるかと言われてしまった事、自分で思ったことも言えない情けなさ、匠さんへの申し訳なさで、泣いてしまった。

ガイドもヤバイと思ったらしく、「行こう」と言い先に進む。ここからは比較的ゆっくり。

 

闇の中、ラパスの街が見え始めた頃、

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やはりひかりさんは体調的にも体力的にも無理だと判断。

 

僕ももう登頂する気は失せていたが、ひかりさんがどうしても僕だけ頂上を目指してくれと涙ながらに訴えるので、

しょうがなく承諾。

 

そこで、前を歩いていたフランス人カップルも女性の方がスピードが出ないらしく、パートナーを交代。

僕とフランス人のダニエルとガイドのラミーロ。

ちっ。ラミーロか。。

 

 

嫌な予感は的中した。

 

今日頂上を目指しているのはガイドを含め30人程。

この時点で僕等はダントツでビリっけつで、はるか遠くにヘッドライトの灯りが見えてる程度。

それなのに他のグループをどんどん抜いていく。

 

おいおい。ラミーロ君。何をそんなに急いでいる?

 

ヘッドライトの明かりとザイルだけをたよりに、ほぼ四つん這いにならないと登れないような坂をピッケルとアイゼンの刃を雪にたてながら、

まるで長距離マラソンのゴール付近のラストスパートのように深く早い呼吸を繰り返し、

延々と進む。

 

底の見えないクレバスを飛び越える。

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真っ暗な中、こんなクレバスを幾つも飛び越えます。

 

だんだん僕も体力が限界に近づいてきた。

 

5900m地点、日が昇り始め、辺りの景色が見え始めた頃、

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(ハイキャンプからひかりさん撮影)

目の前に頂上へと続く巨大な雪の壁が現れた。

今まで「これ登るの?」って急斜面を何度も登ってきたが、比では無い。

 

嫌だなとか思う余裕も無く、ガイドは一気に登り始める。

僕等はすでにトップグループ(編物ボーイを除いた)の中でも一番早いスピードで登っている。

 

あまりの急登に息を切らして度々止まる僕に、ラミーロは「ダメなら引き返すか?」と聞いてくる。

 

あり得ない。

 

酸素が50%以下になっている6000mを異常なスピードで登り、度々止まってしまっても他のグループよりも圧倒的に早い僕に対して

「引き返すか?」だと??

 

僕「これ以上スピードは出ない。でも、僕がダメなら他の人全員ダメなハズ。今日は全員ダメってことか?」

ラミーロ「そうじゃない。心配して言ってるんだ。」

僕「今のスピードなら頂上にたどり着ける。登ろう。」

 

幅30cm。斜度40度以上のトラバース。

この壁を見て引き返すグループも多かった。

 

プラスチックブーツとアイゼンを着けた足ギリギリ一杯の急斜度の道を登り続ける。

もし落ちたら、下を登る人たちを巻き添いにしながら数百m下まで転げ落ちてなかなか止まらないだろう。

運が悪ければ途中のクレバスに落ちる。

 

でも、恐怖を感じている余裕が無いくらい消耗していた僕は、ただひたすら登り続けた。

 

6時、登頂。

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頂上には平らな場所はなく、ナイフリッジの様に切り立った雪をピッケルで平にし、やっと2〜3人が座れるスペースが出来上がる。

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登ってきたのと反対側の斜面は、斜度70度以上ありそうな崖になっていて、下がどうなっているのか見る気も起きないほど恐ろしい。

 

標高6000m。消耗しきっているが、高度障害のような症状も無く、バッチリ順応できた。

カメラを取り出し、やっと撮影ができる。

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イリマニ山やチチカカ湖、ラパスの街や、ここよりも低いアンデス山脈の山々、氷河。

 

僕等が通ってきた道。無数のクレバス。

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よくこんな道を歩いてこれたもんだ。

 

景色は美しいが、1つも楽しいことの無い登山だった。

 

ガイドとケンカになるし、ひかりさんと一緒に頂上に立てなかったし、ただひたすら無駄に早く登り続ける。

体力も限界まで使い切った。

こんなに疲れたのは初めて。

登頂の感動よりも、やっと休める安心感の方が強かった気がする。

 

やっぱりガイド付きの登山は好きになれない。

ひかりさんは人生で初めて登頂を諦めた。

5,500m付近だったらしい。

高山病の症状も無い。

明らかにガイドのせいだ。

体調不良を考慮しても、ひかりさんならもっと上まで行けた。斜面の恐怖さえ克服すれば登頂も可能だったハズ。

パートナーを交換し、女子二人でゆっくり登ったが、フランス人の彼女(22歳)はかなりフラつき数歩歩いては腰を下ろし、頭痛薬を飲み始めた。私も数歩ごとに息があがり歩みは遅い。なんとか最初の急登に取り付いたが、数mですごく辛いし、めっちゃ怖い!彼女と相談しこのまま登るのは危険そうだから、下山しようと決めた。4時20分、3時間は頑張ったよ。

 

キリマンジャロの時のように素晴らしいガイドに出会えれば登頂率は上がるし、今回のようなガイドだったら最悪。時の運。

やっぱり山は個人で登るに限る!

 

-15℃の中、20分ちょっと頂上に滞在し、降り始める。

登りでは鉄人並の体力を見せていたフランス人ダニエルも下山時は激しい頭痛に悩まされ、足下もおぼつかなくフラフラ。

 

一方の僕は、筋力的にはまだ余裕があるので下りはしっかりしているものの、体力が限界なのでちょっとした登りでは息を切らしてしまう。

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DCIM999GOPRO

DCIM999GOPRO

こやつが悪の権化。ラミーロ。

 

7時半過ぎ、ハイキャンプに到着。

10時半、ベースキャンプに到着。

13時、ラパス着。

 

ベースキャンプに戻る時の約25キロのザックが重かった。

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ラパスに戻る車内では2時間ガッツリ睡眠してしまった。

 

気持ち悪さは食事をしたら回復。

長時間ほとんど何も口に入れずに過酷な登山をしたからだろう。ただの低血糖。

倦怠感もシャワーを浴びたらスッキリ。

 

ワイナポトシは本当に楽しくない登山だったけど、6000mに触れることができて、ジワジワと実感が湧いてくる。

 

次は約1週間後に迫ったアコンカグア。

 

必要な登山技術だけで言えば決して難しくないアコンカグア。

高所にかなり順応できているので、

どの程度天候が安定してくれるか、

サミットプッシュの時までに体力を温存できるかが登頂の鍵になる気がする。

 

ただ、人生で初めて登頂を諦め、かなり弱気になっているひかりさん。

たった4年ちょっとの登山歴だけど、山に登ってて初めて楽しくないと思ってしまった僕。

 

とりあえず、10日にアルゼンチンのメンドーサ入りをして、アコンカグアに挑む気持ちが再燃してきたら挑戦することにします。

 

もし、挑戦しない場合はメンドーサのワインを浴びる程飲みまくります(^_^)

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Posted by Takumi(Hikari
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